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しなやかな組織づくり~次世代の経営・マネジメント~ 第1弾

キュレーターが潜在顧客との関わりをつくる

「キュレーター」という言葉があります。もともとは情報や資産を集め、選別し、新たな価値を付加していくキュレーションという言葉からきている用語で、美術館や博物館の「学芸員」の訳語として使われることもあります。転じて、異なるものを組み合わせたり、新しいネットワークの場をアレンジしたりする役割の人に対して、「キュレーターのような」という使い方をする場合も最近耳にするようになりました。

このキュレーターは、情報や人のハブのような存在だといえますが、さまざまな接点を可能にするための視点が圧倒的に広い人です。そのため、異質なものの間に接点をつくったり、つながりをつなぎかえたりすることに長けています。潜在顧客とのかかわりをつくるという点でも注目したい役割です。

「ハブ―Hub」という言葉は、車輪の「こしき」という意味があり、軸の中核、中枢という意味を持っています。コンピュータの世界ではネットワークの中心となる装置に使われ、転じて様々な結節点、中枢箇所として使われる言葉です。たとえば「ハブ空港」と使ったりしますが、そこを起点として多くのつなぐ線が出ている様子を表しています。ハブには多数の線が通じているため、情報の集約、発信がしやすい結節点なのです。

一方、線の数だけを見て行くと、そのハブネットワークが他のネットワークに比べて中心なのか辺境なのかが見えない場合もあります。その距離感と線の数を自身で把握しながら、必要に応じて距離感を縮める動きをしたり、数ある線のなかから現在有効なものを抽出してアクティブにさせる動きをするのが、キュレーターの役割です。ネットワークのどことどこがつながると新たな可能性が広がるのか、異質同士でもきっと「化学反応」が起きる接点をつくろうか、といった発想でちょっとした働きかけを自然と行ってしまう場合も多いかもしれません。

潜在顧客とは、今はまだ接点がなかったり、関心事が把握しきれていない層だったりしますが、小さな接点から何かのヒントが得られる場合があります。接点を持った時に生まれる触発があればあるほど、将来的な顧客層への感度が高められます。そのきっかけづくりとして、キュレーターという存在を意識してみてはいかがでしょうか。

著:日本能率協会 KAIKAプロジェクト室 山崎賢司

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